概要
本書『幸福の「資本」論』は人生を幸福に生きていくために必要な要素を3つに分類し、それぞれの要素について解説しながら、今後の生き方について考察している本です。本書において、幸福に生きていくために必要な3つの要素はそれぞれ「金融資産」、「人的資本」、「社会資本」と作者は名付けています。
それぞれについて簡単に説明しておくと「金融資産」は文字通り不動産などを含めた財産のことです。また「人的資本」は働いてお金を稼ぐ能力のことであり、「社会資本」は家族や友人といった交友に関するネットワークのことです。
そして、これらの資産・資本を多く保有している状態が幸福を感じやすく、3つの内2つを潤沢に持つことができればリスクヘッジも効いている状態であるとしています。
いかにして資本を築いていくか
それではいかにしてこれらの資産・資本を築いていくかを20代の平凡な若手社会人であると仮定して考えます。20代は基本的には健康であり、社会人として働くことができているため、「人的資本」はある程度持っている状態であると考えてよいでしょう。
「金融資産」に回す元銭は少なく、「社会資本」を多数作れるほどの実績もないため、まずは目の前の仕事に集中することでより「人的資本」を高めることが重要だと考えます。仕事に取り組むことにより、「金融資産」に回す元銭を貯め、「社会資本」を作るきっかけとなるようなアウトプットのネタを得ることができます。
「人的資本」を高めつつ「社会資本」を得ることで「金融資産」も増やしやすくなる。そして、「金融資産」をさらに自己投資に用いることでより「人的資本」が高まり、正のスパイラルが生まれます。このスパイラルを形成することができれば、3つの要素がさらに高まり幸福に生きやすくなるでしょう。私の結論としては、”20代の若手社会人は「人的資本」を高めることに集中することが重要だ”となります。
3つの資本があれば本当に幸福なのか?
一方で「3つの資本があれば本当に幸福な状態であるのか」ということは考える必要があるでしょう。つまり、本書で挙げられている3つの要素が幸福であるための条件として、漏れがなく重複がないのかいわゆるMECEであるのかということについては各自で考えた方が良いように思います。というのも幸福の定義は人それぞれ違うからです。
私は本書に書かれている3つの要素が幸福の条件であるという考察で納得感があったので反例が思いつきません。しかし、本書を読んで自分なりの幸福の定義を再考してみる価値はあるでしょう。
おわりに
本書を読み3つの資本について知ることによって、生きていく上で考えなくてはいけないことが整理され、非常にシンプルになったように感じています。その一方で自分なりの幸福の定義についても改めて再考してみる価値はあるように思いました。皆さんも本書を読み、それぞれの幸福について考えてみてください。お読みいただきありがとうございました。
コメント