はじめに
寄付と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか?例えば赤い羽根募金。小中学生のころに募金してみた記憶があるだろう。もしかすると、これが初めての寄付だったという人が意外と多いのかもしれない。他にはコンビニなどのレジの脇においてある箱であったり、駅前などで呼びかけているイメージだろうか。
今挙げた対象に対して行う寄付のことを否定するつもりは毛頭ない。しかし、これらの寄付はどちらかというと受動的な寄付に分類されると思う。つまり、寄付をする対象をこちら側が意識的に選択していないということだ。本書『寄付をしてみよう、と思ったら読む本』は、読むとより積極的に寄付がしたくなる本であり、寄付と聞いてピンとこない人ほど読むべき一冊だ。
寄付による3つの効果
いったい寄付にはどのような効果があるのだろうか。本書を踏まえ、私は大きく3つあると考える。
1つ目はは自己肯定感の増加だ。たとえ少額だとしても、寄付とは自らの資産を他人や社会のために使うという行為だ。そのお金で幸せになる・救われる人がいると想像するだけで、自分自身に存在価値を感じることができる。人間だれしも心が落ち込むときはあるだろう。そんな時に自分が行ってきた寄付という行為を思い出すと、不思議とまた力が湧いてくるものだ。
2つ目は寄付の対象となる団体の強い後押しになることだ。本書を読んで知ったことなのだが、NPO法人の中には認定NPO法人と分類される法人があり、この法人となるには3000円以上の寄付者を年間100人以上集める必要がある。認定NPO法人となることで税制上有利になったり、対外的な評価が上がるのだ。こうした制度面での後押しにもなるが、本書によれば寄付金と補助金では現場のモチベーションがやはり違ってくるようだ。寄付をしてくれた人の思いを受け、より一層がんばろうという気持ちになるという。このように寄付は対象の強い後押しになる。
3つ目は自分の意思をより直接世の中に反映できることだ。私は特にこの3つ目の効果が特に大きいと考えている。私たちは日々税金を納めているが、税金を自ら積極的に支払おうという人は少なく、受動的に嫌々払うものという認識の人の方が多いだろう。しかも私たちは基本的に税金の使い道を選ぶことができない。選挙によって予算配分を決定する国会議員を選択することはできても、直接使い道を選ぶことはできないのである。
しかし、寄付は違う。自分が興味・関心のある分野に対する活動を行っている団体を直接選ぶことができるからだ。例えば最近虐待による非常に悲しい事件があった。こうした事件に憤りを感じても、現実は変わらない。そこで、寄付の出番だ。虐待などを受けている児童を支援しているような団体に寄付することであなたの思いを直接届けることができる。そして、自分が理想とする社会に少しでも近づく可能性が高まるのだ。私の場合はサイエンスが好きで、さらに将来的に自分のためにもなると思い、ips細胞の研究に対して寄付をしているし、サッカーが好きなので、新スタジアムの建設資金に寄付をした。こんな具合に自分の理想とする社会に近づけることができる。何ともエキサイティングな行為ではなかろうか。
おわりに
本書ではより具体的な団体の紹介や本記事で書かなかった寄付の側面などを伝えてくれている。本書を読んで寄付は自分の理想とする社会に近づけることができる、素晴らしい行為であるということを再認識することができた。著者の願いは寄付をしてくれる人が一人でも多く増えることだろうが、私の記事が本書を手に取るきっかけとなれば、この上ない喜びである。
最後に本書での中で最も印象的だった言葉を引用して筆をおこうと思う。
我々は微力ではあるかもしれない。けれども、決して無力ではありません。
コメント
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